徒然なるままに【01】 イラストコンテストで描いた「出会い」の話

 季節は流れ、今年も残すところあと少し。電気ケトルでお湯を沸かすほんの数十秒ですら持て余してしまう今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 私はといえば、先日「出会い」をテーマにしたイラストコンテストに挑戦してみました。下の画像がそのとき応募したイラストです。大学入学とともに一人暮らしを始める主人公。その子の部屋と地続きに広がるSNSの世界、そこで見つけた顔も名前も知らない同期たち。彼らとの新生活がいま、始まろうとしている────そんな一コマを表現したかった絵でした。

 結果はもう既に出ており、知っている方もいると思いますが、私のイラストは何の爪痕も残せずでした……。正直、悔しい気持ちともっと頑張らなきゃの気持ちでいっぱいです。「これで少しでも人生が良い方向に変わってくれ~!」といつにも増して気張っていたから余計にそう思うのかも。なんにせよ、このコンテストに参加したことで、自分の描きたいもの、そして自分に足りないものを見つめ直す良い機会になりました。これからもいっそう精進していきますのでどうかよろしくお願いいたします。

 さて、この話題に触れたのは、ただ単に悔しい思いを綴りたかったからではないんです。この絵を自分の言葉無しにインターネットの海に放流するだけ、というのはなんだかとても寂しい感じがしたから……。まあとにかく、ゆったりお茶でも飲みながら昔話をしましょうか。ちょうどお湯も沸いたことだし、桜の匂いがする紅茶を淹れましょう。

大学入学したての頃の話です

 2020年3月下旬、私は他の人よりも少し遅く進学先が決まりました。改めて言及するまでもない気がしますが、この頃というのはまさに世界中で未知のウイルスが流行り出したときで、見通しも立たないままに日常のあらゆるものが変わったり消えていったりした時期です。私自身「せっかく受かったけど大学生活もどうなっちゃうんだろうなあ」なんて、自分にはどうしようもできないことを漠然と気にかけていました。

 そんな中ぬるっと始まった大学生活。結局1年目はほとんどオンライン授業になり、どんな学生が一緒に受けているのか分からない状態で半分以上の授業が進んでいきました。現実がそんな状況なのもあってか、当時はTwitter(現X、ここではTwitterと呼ばせてくれ)での交流がかけがえのないものとして映っていました。今でも、その当時のTLのわちゃわちゃした空気感は覚えています。

 Twitter上で同期らしき人を見つけたときの感覚もずっと心に残っています。「#春から〇〇大」で投稿すると同学部の同期からぽつぽつといいねが飛んできて。タグを巡回してみると、思ったよりも色んな学部の人が存在していて。皆その頃は距離感をはかりつつ明るい口調でコミュニケーションを築きながらも、同じような不安を口々に呟いていて……。

・3月末に雪?!?!
・シラバスシラバスってみんな当たり前のように言っているけどシラバスが何かわからん
・入学式がないので僕たちはまだ大学生じゃないみたいですね!^_^
・自炊できないので学食が無いのはきつい……

 完全再現は不可能ですが、たしかこんな感じでした。こういったコロナ禍での不安や不満、初めての一人暮らし・初めての大学生活だからこそ出てくる戸惑いは、どれをとっても当時の私にはすごく共感できるもので、そんな呟きを見るたびに「ああ、顔も本名も知らないけどこの人たちと本当に同期なんだ」と感慨深いものがありました。

まだ見ぬ同期たち

 今回描いた「まだ見ぬ同期たち」という題をつけたイラストは、そんな大学入学当時の経験を投影させたかったものです。この絵は同じ大学の同期各位に一番に見てほしいものでもありました。あのときSNSを通じて実生活の不安も驚きも一番に共有しながら、おんなじ「大学生活」を送れたことは自分にとって結構大きなことで、卒業前にその感情を形にしたいなと思っていたのです。まあ多くの同期は私という人間のことも、密かにでかい感情を抱いてこんな絵も描いていることも知らないし、知る由もないわけですが……。一人にでも届いてくれたら嬉しいです。また、こうやって言葉で説明しようとすると難しい感覚が、イラストを通じて一人にでも伝わってくれたら絵を描く身としてはこの上なく幸せです。

 そろそろ良い具合ですしここらで終わりますか。さあ、冷めないうちに飲んでください!

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